冬虫夏草の種類

狭義の意味での冬虫夏草は冬虫夏草菌(コルジセプス・シネンシス)がオオコウモリガの幼虫に寄生して育ったものをいいますが、同じくコルジセプス属が他の昆虫の幼虫に寄生したものも冬虫夏草と呼ばれます。では、どのくらい種類があるのでしょうか。
虫草菌(コルジセプス属)は世界中に分布しており、その種類は350種類以上です。そしてその大部分は昆虫に寄生します。たとえば、蝉に寄生するもの、蛹に寄生するもの、ハエに寄生するもの、蜘蛛に寄生するものなどがあります。トンボに寄生するものもあり、寄生するトンボは主にアキアカネ、ナツアカネ、ノシメトンボの成虫に寄生します。蝉に寄生するものは「セミタケ」と呼ばれ、蛹に寄生するものは「サナギタケ」、トンボに寄生するものは「ヤンマタケ」と呼ばれています。
ここで少しヤンマタケについて掘り下げてみましょう。もともと、ヤンマ科のトンボに寄生している状態で発見されたために「ヤンマタケ」の名称がつけられました。トンボの節目の部分から2.5~6mmほどのキノコ(子実体)を発生させます。ヤンマタケがトンボに寄生する場合、空気中に飛散した胞子の状態で飛んでいるトンボに感染すると考えられています。感染されたトンボは栄養分を吸収されて死に絶え、ヤンマタケが成長します。植物の葉や枝に止まった状態のまま発見されることも多いです。ヤンマタケはクモ、スズメガ、ハエに寄生する虫草菌と同じく、有性生殖ではなく分生子をつける形で次世代につなげます。
どのようにして宿主に寄生するかなど不明な部分はまだまだ多いですが、それも冬虫夏草の魅力と言えるでしょう。
この記事へのコメントはありません。