冬虫夏草の歴史

冬虫夏草の歴史は古く、紀元前230年前後に秦の始皇帝が妙薬として摂取していたことが歴史書に記載されています。また、玄宗皇帝が寵愛していたことで知られる楊貴妃もその美貌を保つために使用していたそうです。かつては中国で特権階級の人のみの料理に使われていました。チベットでも体力回復のために効能の高い冬虫夏草を口にしていました。今から2000年以上前のことです。日本では1768年に、青木昆陽の「昆陽漫録補」に冬虫夏草についての記事が載っています。西ヨーロッパでは1707年にフランスのヴェルサーユで2種類の冬虫夏草を採取しました。冬虫夏草と一言で言っても、コウモリガに寄生するもの以外も冬虫夏草と広義では定義されています。なので、ヨーロッパで次々と冬虫夏草が論文で紹介されると「植物性昆虫」と名付けられ、ヨーロッパの学者たちは大きな関心を抱いたといわれています。
日本は広義での冬虫夏草に恵まれた地域で、あまり知られていませんが、蝉の幼虫や蛾のマユに寄生した冬虫夏草を身近で採取できます。影が多いじめじめした下草の生えているところなどに多いです。とはいっても、素人ではなかなか見つけられないか、見つけてもそれが冬虫夏草かどうかの判断はつかないでしょう。
現代では日本でも冬虫夏草が栽培されています。古代中国の冬虫夏草とはまた違いますが、栄養価は高く、副作用もないため、気軽に人々が口にできるようになりました。古代中国では、まさか貴重な冬虫夏草を栽培できるようになるなんて思いもしなかったでしょう。
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