冬虫夏草を巡る紛争

チベットに住む人たちにとって、冬虫夏草の採取は、生活を支える収入源となっています。そのため、冬虫夏草を巡って、しばしば紛争が起こり、殺し合いに発展するケースも少なくありません。冬虫夏草は、チベット人の現金収入のもととなっています。しかし、年々価格が上昇するため、採集に参入する人が増えており、密漁も多く、常に紛争の火種になっているのです。
現地の人間でも小さな冬虫夏草を探して採集するのは大変な作業になっています。それでも、1日に2~3個を見つけて採集できれば、道路工事の労働の1日分の収入になるのです。
チベットの伝統医学では、冬虫夏草は、腎臓、肺、心臓の治療に用いられてきました。最高品質の冬虫夏草は、金よりも高値で取引されているほどです。
チベットの生活環境は過酷です。高原であるため空気は薄く、紫外線は強烈です。気温差は激しく、風雪や乾燥なども激しいのですが、そのような中、積雪が残る状態で、わずかに地上に、数ミリから数センチ出ている冬虫夏草を探して採集するので、1日に数個程度しか見つけられないことになります。
採集に集まる人が増え続けたり、冬虫夏草を巡って紛争が起きたりすることは、それだけチベットの冬虫夏草が有名で、しかも大きな需要が有るということの裏付けでもあるでしょう。
2003年のSARS流行の折には、冬虫夏草の価格が倍になりました。もともと肺の治療薬として使用されるため、一気に需要が膨らんだのでしょう。今後も冬虫夏草の需要は増え続けていくと考えられています。
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